「餅は餅屋」ということわざをご存じだと思います。
餅は餅屋がついたものが一番うまい!という事で、物事はそれぞれの分野の専門家に任せるのが良いという意味のことわざですね。いくら素人が上手にできたとしても所詮は素人仕事で、専門家には到底かなわない事も少なくないので、専門家に任せるのが良いという教えから来ています。そういう意味では、弊社も冷凍食品におけるカツのカテゴリーでは、いわゆる“餅屋”になっていると言えるのではないでしょうか。
スポーツの業界ではトップブランドの「ナイキ」が、1980年代にゴルフ事業に参入しアパレル(ウェア、シューズなど)の販売を開始しました。
その後、1990年代にはゴルフボールやクラブなどの用具にも事業領域を拡大していきます。
きっかけは、全米アマチュア選手権で史上初の3連覇を成し遂げた、当時20歳のタイガーウッズとの破格の専属契約を結んだことです。その後ウッズの活躍と共に露出度も上がり、ゴルフ事業の業績は飛躍的に伸びていきます。
しかしながらリーマンショックによる景気後退に加え、ウッズのけがやプライベートでのスキャンダルも重なり、それらの影響をうけた業績は大きく落ち込みました。その後、ゴルフ市場全体の停滞もあり2016年にナイキはゴルフ用具(クラブ、ボール、バッグなど)からの撤退を表明し、アパレルのみの販売に戻りました。
話は戻りますが、ナイキが用具から撤退したのは、それらの事業は“餅屋”ではなかったという事です。用具を製造する際に求められる金属素材の知見や加工・生産の技術を保有しておらず、大半をOEMで委託しておりブランドの強みを活かしきれなかった事が要因といわれています。
隣接する事業であっても全く異なる領域に踏み込んでしまったという事ですね。
事業領域の拡大は、どの企業でも将来的なビジョンを持ち、或いは先々の課題として捉えられている事と思われますが、自社の強みを活かすことが出来る領域なのかが、やはり大きな分岐点になるという事ですね。
【出処:世界「失敗」製品図鑑(日経BP社発行) 著者・荒木博行氏】
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